top of page

ブログ一覧
検索


最新人事労務耳寄り情報ー業務委託契約書があっても労働者?
「雇用契約書ではなく、業務委託契約書がある。だから労働基準法は適用されない」——そう考えている方もおられるのではないでしょうか。 しかし、契約書の表題が雇用契約書ではなく、たとえば「業務委託」「委嘱契約」であっても、実態として「労働者」と判断されれば、労働基準法をはじめとする労働関係法令が適用されます。 ある人が労基法上の労働者に該当すると、解雇制限、最低賃金、労働時間規制、年次有給休暇、労災保険など、すべての労働者保護規定が適用されます。残業代を払わない、あるいは直ちに契約を解除するなどの取扱いは違法になります。 令和8年1月の東京高裁判決(東京海洋大学事件)では、「委嘱契約」として17年間更新されてきた大学の非常勤講師について、労働契約法上の「労働者」に該当すると判断されました。 一般的に労働者性は「使用従属性」の有無で判断され、具体的には以下の要素が総合的に考慮されます。 ①仕事の依頼に対する諾否の自由があるか ②業務遂行上の指揮監督を受けているか ③時間的・場所的な拘束性があるか ④他の人に代わってもらうこと(代替性)が認められているか.
6 日前


最新人事労務耳寄り情報ー出向命令が無効に?
出向は雇用調整、中高年従業員の処遇、従業員のスキルアップなどを目的として現在では日常的に行われるようになっています。 出向を対象とした助成金制度(産業雇用安定助成金)も導入され、国も出向をサポートしています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805_00012.html しかし、出向は労働者に対する指揮命令の主体が変更されるなど単なる転勤とは異なります。法的には転勤よりはるかに慎重な対応が求められ、これを誤ると出向命令自体が無効になるリスクがあります。 実際、令和7年6月26日東京地方裁判所判決(図書館流通センター事件)では、出向命令が権利濫用として無効とされています。 出向を命じる際、次の2つの要件を満たしている必要があります。 第1に、出向命令権の根拠があることです。原則として労働者の個別的同意なく出向を命じることはできません。例外的に労働協約と就業規則に出向命令権を根拠づける規定が存在し、労働者の不利益を防止する制度・措置の整備が存在する場合には、包括的同意があ
1月18日


最新人事労務耳寄り情報ー1年単位の変形労働時間制
飲食チェーン、学習塾や結婚式場などのように季節や月によって業務量に差があるビジネスにとって1年単位の変形労働時間制導入は大きなメリットがあります。 企業にとっては繁忙期に長めの所定労働時間を設定し、反対に閑散期に短縮することで年間の総労働時間を効率化し、残業代(割増賃金)の負担を軽減できる、従業員にとっても閑散期に休みやすくなるという長所があるからです。同制度の導入には労働者の過半数代表者との労使協定の締結と労働基準監督署への届出が必要です。協定では対象労働者の範囲、対象期間、労働日および各日の労働時間等を定めます。常時10人以上の事業場では就業規則への規定も必要です。 企業にとっても従業員にとってもメリットが大きい同制度ですが、落とし穴もあります。 東京地方裁判所令和7年6月27日(ヤマダ工業事件)は、同制度の運用について参考となる裁判例です。 この事案では、会社は従業員代表と労使協定を締結し、労働日を特定したカレンダーも作成していました。形式は整っていたのです。しかし、実際には従業員がカレンダー上の休日に多数出勤していた実態がありました。..
1月14日


最新人事労務耳寄り情報ー熱中症と会社の責任
異常な暑さが続いています。 それに伴い、職場での熱中症による労働災害が増えています。 その場合、会社は安全配慮義務違反による責任を問われかねません。 「ウチは常に水分補給を呼びかけているから、もし事故になっても会社は大丈夫」と思っていませんか? 最近の裁判例(福岡地裁小倉支部令和6年2月13日判決、福岡高裁令和7年2月18日判決)では、作業中に熱中症を発症して死亡した従業員について会社に安全配慮義務違反と損害賠償責任が認められました。 同事件で注目すべきは、会社が冷房の効いた休憩室に水やスポーツドリンク、梅干しや塩昆布等を準備し、休憩時間を通常より多めに確保するなどの熱中症予防策を講じていたことです。 一見すると充実した予防策のようにも思えます。 しかし裁判所は会社の安全配慮義務違反を認めました。 裁判所は、作業場所がどの程度の暑熱環境であるかを客観的に評価することが重要であり、WBGT値(暑さ指数)を測定するなどして熱中症発症リスクの評価を行うべきだったとしています。つまり、「暑いから対策を呼びかける」という感覚的な対応ではなく、科学的・客観的
2025年8月5日


最新人事労務耳寄り情報ー経歴詐称の疑いと解雇
採用した従業員の経歴詐称の疑いが生じた場合、会社としては「騙された!」という思いから即座に解雇したくなるのが当然の心情です。 しかし、最近の裁判例(Aston Martin Japan事件・東京地裁令和6年11月27日判決)は、このような場合に慎重に対応しなければならないことを改めて示したもので、実務上参考になります。 同事件は採用した従業員が経歴を詐称したとして解雇したという事案です。 会社は解雇の理由として当該従業員が ①英国籍であるにもかかわらず日本国籍であると偽ったこと ②前職における年間給与総額が約600万円にすぎないのに約700万円であると述べたこと ③前職において秘密情報の持出しを行ったにもかかわらず,その事実を否認する本件誓約書を提出したこと などを主張し解雇は有効であると争いました。 世間一般の感覚からするとこのような疑いが生じた時点で即座に解雇したくなるのは当然です。 しかし裁判所は解雇を無効としました。 裁判所は ①については「当該従業員が日本国籍を有することは会社の採用条件となっておらず、また採用過程において、会社が従業員
2025年7月15日
bottom of page