最新人事労務耳寄り情報ー熱中症と会社の責任
- 法律事務所アイディペンデント

- 2025年8月5日
- 読了時間: 2分

異常な暑さが続いています。
それに伴い、職場での熱中症による労働災害が増えています。
その場合、会社は安全配慮義務違反による責任を問われかねません。
「ウチは常に水分補給を呼びかけているから、もし事故になっても会社は大丈夫」と思っていませんか?
最近の裁判例(福岡地裁小倉支部令和6年2月13日判決、福岡高裁令和7年2月18日判決)では、作業中に熱中症を発症して死亡した従業員について会社に安全配慮義務違反と損害賠償責任が認められました。
同事件で注目すべきは、会社が冷房の効いた休憩室に水やスポーツドリンク、梅干しや塩昆布等を準備し、休憩時間を通常より多めに確保するなどの熱中症予防策を講じていたことです。
一見すると充実した予防策のようにも思えます。
しかし裁判所は会社の安全配慮義務違反を認めました。
裁判所は、作業場所がどの程度の暑熱環境であるかを客観的に評価することが重要であり、WBGT値(暑さ指数)を測定するなどして熱中症発症リスクの評価を行うべきだったとしています。つまり、「暑いから対策を呼びかける」という感覚的な対応ではなく、科学的・客観的な評価に基づく対策が求められているのです。
厚生労働省は、平成21年に「職場における熱中症の予防について」という通達を出し、その後も繰り返し注意喚起を行っています。主な対策は以下のとおりです。
・WBGT値の活用
気温に加え、湿度、風速、輻射熱を考慮して総合的に評価する指標
・作業管理
熱への順化期間の設定
作業時間の調整
水分、塩分摂取の管理
・健康管理
作業開始前に労働者の健康状態を確認し、睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取等がある場合は、作業場所の変更や作業転換を検討
同事件では会社は客観的なリスク評価をしておらず、また対策を労働者任せにして定期的に実施状況を確認していなかったことが問題視されました。
熱中症対策は、単に「対策を呼びかける」「水を飲ませる」「休憩を取らせる」だけでは不十分です。客観的なリスク評価に基づき組織的、計画的に対策を実施し、その実施状況を定期的に確認することが法的にも求められています。
Written by 法律事務所アイディペンデント










コメント