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最新人事労務耳寄り情報ー経歴詐称の疑いと解雇
採用した従業員の経歴詐称の疑いが生じた場合、会社としては「騙された!」という思いから即座に解雇したくなるのが当然の心情です。 しかし、最近の裁判例(Aston Martin Japan事件・東京地裁令和6年11月27日判決)は、このような場合に慎重に対応しなければならないことを改めて示したもので、実務上参考になります。 同事件は採用した従業員が経歴を詐称したとして解雇したという事案です。 会社は解雇の理由として当該従業員が ①英国籍であるにもかかわらず日本国籍であると偽ったこと ②前職における年間給与総額が約600万円にすぎないのに約700万円であると述べたこと ③前職において秘密情報の持出しを行ったにもかかわらず,その事実を否認する本件誓約書を提出したこと などを主張し解雇は有効であると争いました。 世間一般の感覚からするとこのような疑いが生じた時点で即座に解雇したくなるのは当然です。 しかし裁判所は解雇を無効としました。 裁判所は ①については「当該従業員が日本国籍を有することは会社の採用条件となっておらず、また採用過程において、会社が従業員
2025年7月15日


最新人事労務耳寄り情報ー職種限定合意
「私は○○の仕事専門に採用されました。だからほかの仕事は指示されてもしません」と従業員から告げられたらどうすればよいでしょうか? このことが問題になったのが大阪府立病院機構事件(大阪地裁令和7年1月28日判決)です。 同事件ではある従業員がホスピタルプレイ士(療養生活を送る子どものケア等に携わる専門職)を業務内容として勤務していました。 病院が当該従業員にホスピタルプレイ士業務以外の業務を指示したところ、この指示は人格権侵害に当たるとして差止めを求める訴訟を当該従業員が提起したというものです。 ここで問題になるのが職種限定合意(職種(職務内容)を限定する合意)です。 職種限定合意があるときには、配転命令権はその合意の範囲内のものに限定されます。 単に求人票や労働条件通知書にその業務内容が記載されていた、特定の業務に長期間継続して従事していたという事実があるだけではこの合意は認められません。 しかし、特殊の技能、技術、資格を有する職種や定年までの長期雇用を予定せずに職種や所属部門を限定して雇用される場合にはこの合意が認められやすいため注意が必要です
2025年4月1日


最新人事労務耳寄り情報ー機密情報管理
近年、従業員による企業の機密情報の漏洩が大きな問題となっています。最近の裁判例として、経理部長代理が会社の機密情報を私的に持ち出したケースがあります(スカイコート事件・東京地判令和5年5月24日)。 同事件では経理部長代理が約8000件ものファイルデータを持ち出していました。しかもそのデータには取引先情報や財務状況に関する情報が含まれていました。また部長代理は当初そのデータが記録されたUSBメモリを駅のゴミ箱に捨てたと嘘の説明をしていました。 このような事態を未然に防ぐための体制作りが大切です。 ■機密保持規定の整備 まず重要なのが、就業規則等での機密保持規定の整備です。以下の3点に特に注意が必要です。 ①機密情報の具体的な特定 「会社の秘密を漏らしてはならない」という抽象的な規定だけでは不十分です。どのような情報が機密なのかを具体的に列挙しましょう(たとえば顧客情報、取引先情報、営業データ、技術情報、経営戦略に関する情報など) ②退職後の機密保持義務 在職中の機密保持義務は当然として、退職後の機密保持義務についても明確に規定する必要があります。
2025年3月1日


最新人事労務耳寄り情報ー定年後再雇用の待遇格差とパート有期法8条
パートタイム・有期雇用労働法(「パート有期法」)8条は、パートタイム労働者・有期雇用労働者と通常の労働者(正社員)との間の不合理な待遇差を禁止するものです。 不合理かどうかは、以下の3要素を考慮して判断されます。 a 職務内容 b 職務内容・配置の変更範囲 c その他の事情 福岡地方裁判所令和6年11月8日判決は、JR九州の定年退職者(原告ら)が、定年後の再雇用時の待遇が正社員と比べて不当に低くパート有期法8条に違反しているとして、会社(被告)に対して損害賠償を求めた事案です。 原告らが問題とした待遇の違いは以下のようなものでした。 ・基本給の水準が低い(定年前の約65~74パーセントに減額) ・賞与(期末手当)の支給月数が少ない ・扶養手当や住宅手当が支給されない 裁判所は以下を理由にこれらは違法でないと判断しました。 ①職務内容、職務内容・配置の変更範囲 基本的な業務内容は同じでも再雇用者は昇進・昇格が予定されていない 転勤の範囲が限定的である 高齢者向けの配慮された勤務シフトがある ②その他の事情 定年前に正社員として長期間給与や
2025年2月15日


最新人事労務耳寄り情報ー技能実習と説明義務
技能実習制度は、開発途上国等の外国人材を日本で一定期間(最長5年間)受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。実習生は、1号(1年目)、2号(2~3年目)、3号(4~5年目)と段階的に技能を習得していきます。 団体管理型技能実習の場合、実習実施者(企業)は監理団体の支援を受けながら実習を行い、技能実習計画の認定や在留資格の変更など、様々な手続きが必要になります。 大阪地裁令和5年9月28日判決の事案では、ベトナム人技能実習生が、在留期間満了までに技能実習2号への移行ができず、帰国を余儀なくされたことについて、実習実施者と監理団体に対して損害賠償を求めたというものです。 実習実施者は労働基準監督署から是正勧告を受けたため技能実習計画の認定が遅れ、在留期間満了までに技能実習2号への移行ができなくなりました。実習実施者と監理団体は実習生に対して「一時帰国するしかない」と説明しました。しかし実は在留資格を「短期滞在」に変更する方法がありました。それにもかかわらず、その説明をしなかったのです。 裁判所は、実習実施者と監理団体の双方に、以下の理由で説明
2025年2月1日
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