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最新人事労務耳寄り情報ー「ポストが空いていない」は通用しない?(育児介護休業法10条)
育児休業から復帰する社員について「休業中に代わりの人を配置したので、元の役職には戻せない」という対応はできるのでしょうか。 育児・介護休業法は、育児休業の取得を理由とする降格や減給などの不利益な取扱いを禁止しています。これに違反しないのでしょうか。 令和8年3月27日津地裁判決(クロップス事件)はこの点が問題となった事案です。 同社の従業員として店長を務めていた者が育休終了に際し副店長として復帰し、その後3ヶ月間は調整手当として店長職との基本給の差額分に相当する調整手当の支給を受けました。しかししその後は店長に任命されませんでした。また調整手当も打ち切られました。これを不服として従業員が提訴したというものです。 裁判所は以下の4点を指摘し、育休から復帰した店長を副店長に降格させた措置を育児介護休業法10条に反し違法・無効と判断しました。そして、会社には未払賃金に加え、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の支払いを命じました。 ①ポスト不足を理由にできる期間は限られる 裁判所は、復帰直後に店長ポストに空きがなかったことは認めつつ、「復帰後3か月を経
7月27日


不動産お悩み相談-賃借人から高額な修理代金を請求されました
Q 私は古いアパートの一室を貸しています。その部屋のベランダの手すりが数メートルにわたって崩れたとの通知が借主がありました。古いアパートですので、崩れた原因は経年劣化で借主に過失はないようです。 借主はこの手すりを勝手に直してその修理代を貸主の私に請求してきました。 しかし賃貸借契約書には「必要費及び有益費は借家人の負担とする」という条項があります。これでも私は修理代を払わなければいけませんか。 A 貸主が修理代を負担する必要があります。 賃貸借契約において、本来は貸主が目的物の使用・収益に必要な修繕を行う義務を負い(民法606条1項)、借主が支出した必要費(維持・管理のための費用)は直ちに貸主に請求できるのが原則です。 確かに契約書にある「必要費及び有益費は借家人の負担とする」という条項(費用償還請求権の放棄特約)自体は原則として有効です。 しかし裁判例や実務上、この特約は合理的な範囲に限定して解釈される傾向があります。具体的には、借主に負担させることができるのは照明器具の交換のような日常的かつ少額な修繕(小修繕)に限られます。建物の構造に関わ
6月20日


不動産お悩み相談-使用貸借と賃貸借はどう区別?
Q 私は従兄弟に毎月5000円でマンションの部屋を10年の約束で貸してきました。10年が経ち、また私自身その部屋が必要になったので返してほしいと話したところ「毎月5000円は賃料として払ってきた。賃貸借として借地借家法で保護されるから俺は出て行かなくてよい」と言われてしまいました。従兄弟の言っていることは本当でしょうか?月5000円では固定資産税分にもならないのですが。 A 今回の契約は使用貸借です。借地借家法の適用はなく、返還を求めることができます。 土地や建物を賃料を払って借りる場合(賃貸借)と無償で借りている場合(使用貸借)の区別はとても重要です。 賃貸借(建物所有目的の土地や建物の貸借)には借地借家法が適用され賃借人が強力に保護されますが、使用貸借には適用されません。たとえば賃貸借では期間満了時に更新を拒絶するために正当事由が必要です。つまりいったん貸したらなかなか返してもらえません。一方使用貸借では正当事由は不要です。また賃貸借では借主が死亡しても権利は相続されますが、使用貸借は借主の死亡によって終了し、相続されません。また賃貸借では貸
6月12日


最新人事労務耳寄り情報ー業務委託契約書があっても労働者?
「雇用契約書ではなく、業務委託契約書がある。だから労働基準法は適用されない」——そう考えている方もおられるのではないでしょうか。 しかし、契約書の表題が雇用契約書ではなく、たとえば「業務委託」「委嘱契約」であっても、実態として「労働者」と判断されれば、労働基準法をはじめとする労働関係法令が適用されます。 ある人が労基法上の労働者に該当すると、解雇制限、最低賃金、労働時間規制、年次有給休暇、労災保険など、すべての労働者保護規定が適用されます。残業代を払わない、あるいは直ちに契約を解除するなどの取扱いは違法になります。 令和8年1月の東京高裁判決(東京海洋大学事件)では、「委嘱契約」として17年間更新されてきた大学の非常勤講師について、労働契約法上の「労働者」に該当すると判断されました。 一般的に労働者性は「使用従属性」の有無で判断され、具体的には以下の要素が総合的に考慮されます。 ①仕事の依頼に対する諾否の自由があるか ②業務遂行上の指揮監督を受けているか ③時間的・場所的な拘束性があるか ④他の人に代わってもらうこと(代替性)が認められているか.
5月11日


最新人事労務耳寄り情報ー出向命令が無効に?
出向は雇用調整、中高年従業員の処遇、従業員のスキルアップなどを目的として現在では日常的に行われるようになっています。 出向を対象とした助成金制度(産業雇用安定助成金)も導入され、国も出向をサポートしています。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805_00012.html しかし、出向は労働者に対する指揮命令の主体が変更されるなど単なる転勤とは異なります。法的には転勤よりはるかに慎重な対応が求められ、これを誤ると出向命令自体が無効になるリスクがあります。 実際、令和7年6月26日東京地方裁判所判決(図書館流通センター事件)では、出向命令が権利濫用として無効とされています。 出向を命じる際、次の2つの要件を満たしている必要があります。 第1に、出向命令権の根拠があることです。原則として労働者の個別的同意なく出向を命じることはできません。例外的に労働協約と就業規則に出向命令権を根拠づける規定が存在し、労働者の不利益を防止する制度・措置の整備が存在する場合には、包括的同意があ
1月18日
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