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最新人事労務耳寄り情報ー定年後再雇用の待遇格差とパート有期法8条
パートタイム・有期雇用労働法(「パート有期法」)8条は、パートタイム労働者・有期雇用労働者と通常の労働者(正社員)との間の不合理な待遇差を禁止するものです。 不合理かどうかは、以下の3要素を考慮して判断されます。 a 職務内容 b 職務内容・配置の変更範囲 c その他の事情 福岡地方裁判所令和6年11月8日判決は、JR九州の定年退職者(原告ら)が、定年後の再雇用時の待遇が正社員と比べて不当に低くパート有期法8条に違反しているとして、会社(被告)に対して損害賠償を求めた事案です。 原告らが問題とした待遇の違いは以下のようなものでした。 ・基本給の水準が低い(定年前の約65~74パーセントに減額) ・賞与(期末手当)の支給月数が少ない ・扶養手当や住宅手当が支給されない 裁判所は以下を理由にこれらは違法でないと判断しました。 ①職務内容、職務内容・配置の変更範囲 基本的な業務内容は同じでも再雇用者は昇進・昇格が予定されていない 転勤の範囲が限定的である 高齢者向けの配慮された勤務シフトがある ②その他の事情 定年前に正社員として長期間給与や
2025年2月15日


最新人事労務耳寄り情報ー技能実習と説明義務
技能実習制度は、開発途上国等の外国人材を日本で一定期間(最長5年間)受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。実習生は、1号(1年目)、2号(2~3年目)、3号(4~5年目)と段階的に技能を習得していきます。 団体管理型技能実習の場合、実習実施者(企業)は監理団体の支援を受けながら実習を行い、技能実習計画の認定や在留資格の変更など、様々な手続きが必要になります。 大阪地裁令和5年9月28日判決の事案では、ベトナム人技能実習生が、在留期間満了までに技能実習2号への移行ができず、帰国を余儀なくされたことについて、実習実施者と監理団体に対して損害賠償を求めたというものです。 実習実施者は労働基準監督署から是正勧告を受けたため技能実習計画の認定が遅れ、在留期間満了までに技能実習2号への移行ができなくなりました。実習実施者と監理団体は実習生に対して「一時帰国するしかない」と説明しました。しかし実は在留資格を「短期滞在」に変更する方法がありました。それにもかかわらず、その説明をしなかったのです。 裁判所は、実習実施者と監理団体の双方に、以下の理由で説明
2025年2月1日


最新人事労務耳寄り情報ー管理監督者
管理監督者とは、経営者と一体となって労務管理を行う立場にある者を指します。 労働基準法41条2号によりこの管理監督者は労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されます。 管理監督者にあたれば残業代を支払う義務がないという文脈でよく報道されています。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD299LL0Z20C24A5000000/ この点が争われた大阪地裁令和6年3月14日判決は取締役の肩書を与えられた従業員が残業代の支払いなどを求めて提訴したというものです。 取締役という肩書がある以上、一見経営者と一体となっているとして管理監督者にあたりそうに見えます。 しかし裁判所は管理監督者にあたらないとしました。つまり勤務先の会社に残業代の支払いを命じました。 裁判所は以下の点から管理監督者にあたらないとしました。 ①経営への関与度 年1~2回の経営会議への参加があっても、重要な意思決定への関与は限定的だった 取締役会での決議事項も人事や報酬に限られていた ②労務管理権限の実態 部下の配置や仕事の割り当ては
2025年1月1日


最新人事労務耳寄り情報ー安全配慮義務と長時間労働
企業には従業員の安全と健康を守る「安全配慮義務」があります。この義務を怠ると、不幸な事故が発生し、また高額な損害賠償請求を受ける可能性があります。 宮崎地裁令和6年5月15日判決の事例はルート営業を担当していた従業員が心停止により亡くなったケースです。 当該従業員の労働実態は以下のような負荷の高いものでした。 ・月45時間を超える時間外労働が継続 ・直前1週間で3回の県外出張 ・クレーム対応による精神的負荷 裁判所は、これらの負荷が重なって死亡に至ったと認定し、会社に安全配慮義務違反があったとして約1200万円の賠償を命じました。 裁判所が安全配慮義務違反を認定した理由は大きく分けて2つです。 ・労働時間管理の不備 作成されていた勤務表では「9:00~18:00」と画一的に記載されており、実態を反映していないことは明らかでした。それにもかかわらず会社はこの自己申告を漫然と放置し、また実態把握の努力もしませんでした。 ・業務負荷への対応不足 当該従業員は連続出張や突発的クレーム対応による業務負荷が増加していました。会社はこれについて認識・予見可能だ
2024年12月1日


最新人事労務耳寄り情報ー高齢者継続雇用制度と雇用拒否
高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年制を設けている企業に対して以下のいずれかの措置を講じることを義務付けています。 ・定年の引上げ ・継続雇用制度の導入 ・定年の廃止 このうち最も多く採用されているのが継続雇用制度です。 同制度下では原則として希望者全員を継続雇用しなければいけません。 では、継続雇用を全く拒否できないのでしょうか。アメリカン・エアラインズ事件(東京地裁令和5年6月29日判決)はこの点についてこれまでの実務傾向とは異なる注目すべき判断を示しています。 本件では、60歳定年を迎えた従業員が継続雇用を申し込んだところ、会社側が経営悪化を理由に継続雇用を拒否したことが争われました。 裁判所は、以下の点を重視して会社側の対応を適法と判断しました: ・就業規則に、「事業縮小、人員整理、組織再編成等により社員の職務が削減されたとき」は継続雇用の対象としない旨の規定があったこと ・新型コロナによる経営悪化が現実に存在し、全社的な人員削減が必要な状況にあったこと ・定年退職者の再雇用制度を一時凍結する方針が、恣意的なものではなく、経営上の必要
2024年11月1日
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