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最新人事労務耳寄り情報ー就業規則の変更と過半数代表の選出手続
就業規則の変更は実務において頻繁に行われる重要な手続です。しかしその際に必要となる従業員からの意見聴取は時に形だけのものなりがちです。 労働基準法第90条では、使用者は就業規則の作成・変更に際して、①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、②そのような労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めています。 この手続を軽視すると思わぬトラブルにつながります。 最近の裁判例(釧路地裁帯広支部令和5年6月2日判決)でも、過半数代表者の選出手続の瑕疵が就業規則変更の無効原因となると判示されました。この事案では、従業員代表者の選出が民主的な手続(投票や挙手等)によって行われていなかったことが問題とされました。 就業規則の変更にあたっては実務的には以下の点が重要です。 ・過半数代表者の適切な選出 ①選出目的を明確に周知すること ②投票や挙手など民主的な方法で選出すること ③選出過程を記録として残すこと ④管理監督者は過半数代表者になれないことに注意 ・意見聴取の具体的手順 ①変更案を事前に配布し、十分な検
2024年10月1日


最新人事労務耳寄り情報ー労働時間
企業はもちろん従業員が働いた時間(労働時間)に応じて賃金を支払う義務があります。 では、休憩時間や待機時間にも賃金を支払う義務があるのでしょうか? つまり休憩時間や待機期間も労働時間にあたるのでしょうか。 労働時間について最高裁は「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」としています(最高裁平成12年3月9日判決)。 企業の側から見ると日常用語の「働いた」とはいえないのではないかと思われる時間についても労働時間として賃金を支払わなければならないことに注意が必要です。 例えば裁判例上 ・会社と現場の移動時間(建設業) ・仮眠時間(警備員) ・客待ち時間(タクシー運転手) ・泊まり込み時間(障害者就労支援施設) ・勉強会、検討会の発表や準備時間(内科医) などについて労働時間として賃金支払い義務があるとしたものがあります。 しかし上記各時間がすべて労働時間にあたるわけではありません。 大阪地裁令和6年2月16日判決では電気工事業を営む会社の従業員が会社の駐車場と現場を移動する時間が労働時間にあたるかが争われました。 同裁判例は従業員が駐車場に集
2024年6月1日


最新人事労務耳寄り情報ー配置転換・転勤(その2)
技術職として長年勤務していた従業員に、会社はその従業員の同意なく総務課への配置換え(配転命令)を行うことは許されるのでしょうか? この点について最高裁令和6年4月26日判決は 「労働者と使用者との間に当該労働者の職種等を特定のものに限定する旨の合意(職種限定合意)がある場合、使用者(会社)は一方的に配置転換を命じることはできない」 としました。 つまりこの従業員に対して総務課への配置換えはできないとしたのです。 この事案はどのようなものだったのでしょうか。 従業員(Aさん)は平成13年3月、福祉用具の改造、製作などの技術職として雇用されて以降、技術職として勤務していました。 そしてAさんと勤務先(社会福祉法人)との間には職種と業務内容を技術職に限定する旨の職種限定合意がありました。 勤務先は、Aさんに対し平成31年4月1日付で総務課への配置転換を命じましたが、Aさんがこれを不服として訴訟を提起したというものです。 なおこの背景には勤務先での福祉用具の改造や製作業務の廃止でAさんについて解雇がありうる状況だったということがあります。...
2024年5月1日


最新人事労務耳寄り情報ー配置転換・転勤(その1)
職務内容や勤務場所の変更(配転命令、配置転換)の有効性が従業員との間で争われるトラブルが増えています。 最近の事例(東京地方裁判所令和5年7月14日)では建築総合コンサルティング会社が行った、営業職の従業員に対する技術職への配転命令の有効性が争われました。 この事例では雇用契約書上も就業規則上も業務都合により異動を命じたり担当業務以外の業務を行わせることがある旨定められていました。 しかしそれでも配転命令は裁判所により無効とされました。 配転命令が有効になるためには、①就業規則などに根拠があるか(配転命令を根拠づける規定等の存在)、②職務内容や勤務地を限定する特別の合意があるか(ある場合にはその合意の範囲内か)、③権利の濫用などではないかという条件をクリアする必要があります。 この事例は、①と②はクリアできているものの、同社で技術職が不足しているかという点が明らかでないことや会社の従業員への対応(具体的な出勤・業務を命じていないなど)に照らし、業務上の必要性がないとして③を満たさないとしたものです。 そして、今日(4月1日)から労働条件明示につい
2024年4月1日


最新人事労務耳寄り情報ー試用期間
正社員の採用時には試用期間を設けることが大半です。 もちろん採用側としては実際に働いてもらいその結果適格性がないと判断できた場合には本採用しないとしたいからです。 この本採用拒否について、裁判所はたとえば ・コンピュータソフトウェアの研究開発等を行う会社で即戦力となる高度人材として採用された者がコミュニケーション能力が求められる水準に達していなかった(①プレゼンの際に膨大な量のスライドを作る、②時間を大幅に経過する、③聞き手の聞きたい内容ではなく自分の興味のあるテーマを一方的に伝達しようとするなど)(東京地方裁判所令和3年11月12日) という事案において本採用拒否を有効としています。 この裁判例だけを見ると「採用したけど期待外れだった」というレベルでも試用期間経過後の本採用拒否は自由にできそうです。 しかし多くの裁判例上、本採用拒否は一般に考えられているほど簡単にはできません。 たとえば ・保険代理店で採用者が①通常より高額な通勤定期代を請求した、②社内清掃や休日出勤に非協力的だった、③就業時間中に会社のパソコンで内部告発文書を作成した(東京地
2024年3月15日
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