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会社と私の「メメント・モリ」vol.2-もし株主が亡くなったら?


今回は株主が亡くなったときについて考えてみましょう。


大部分の中小企業(株式会社)では、株主としてふさわしくない人が会社に入り込まないよう、株式を譲渡する場合に会社の承認を必要としています(譲渡制限株式)。


しかし、この譲渡制限株式だけでは株主としてふさわしくない人が会社に入り込むことを防げない場合があります。


たとえば、株主のAさんが亡くなり、子供のBさんがAさんの株式を相続したとします。


実はこの場合、たとえ譲渡制限株式でも会社の承認は不要なのです。


もしこのBさんが放蕩息子でトラブルばかり起こしていた場合、Bさんが株主になると会社は困ります。


そこで会社は定款で定めれば、会社はBさんに対して株式を会社に売り渡すよう請求できます(売渡請求)。この制度、定款で定めていないと利用できませんが、大昔に作成してそのままになっていたりネットで無料公開されたりしている定款にはこの定めがないことがありますから要注意です。


次に、同じく株主の死亡に伴う相続などにより今の株主と連絡が取れなくなることがあります。このような株主を所在不明株主といいます。皆様ご存じのとおり会社の最終的意思決定をするのは株主ですから、所在不明株主が障害になり会社の事業承継の手続を進められなくなることがあります。


このような場合、その株式は競売や自社による買取りができます。この制度、連絡不能の期間が5年必要など要件は厳しかったのですが、2021年8月の改正経営承継円滑化法により一定の条件を満たす中小企業はその期間が1年ですむなど使いやすくなりました。会社経営はあらゆるリスクを想定し、万一リスクが生じたら対応する制度をフルに活用することが大切です。


Written by 行政書士事務所アイディペンデント

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