エアコン、テレビなど、家電の操作にとって便利なリモコンですが、高次脳機能障害の方、認知症の方、高齢者の方から見るとかえって不便が生じていることをご存じでしょうか。
リモコンを見つけられない、見つけられてもリモコンを取り違えてしまい意図した操作ができないことが多いのです。
神戸大学などの方がこれを解決する新しいリモコンを考案しました(特開2018-033049、※)。普通、リモコンといえば、平べったい形をしたかまぼこの板のような直方体で、1つの面だけにボタンが配置されているものが主流です。しかし、その形自体を変えてしまおうという発想に基づいています。
新しく考案されたリモコンは多角柱、たとえば三角柱の形をしていて、かつ、すべての面にリモコンのボタンが配置されています。そして、それぞれの面に各家電(たとえば、エアコン、テレビ、照明)のボタンが分けて配置されています。これによって複数のリモコンを一台にまとめておくことができ、見つけやすくなります。
また、このリモコンの特長は、リモコンが自立するようにできていることも挙げられます。
リモコンが見つけにくい原因の1つは、従来のかまぼこの板型のリモコンでは普通に置くとほかのものに紛れてしまいやすいことにあります。しかし、リモコンが自立していれば目立つのでより見つけやすくなるからです。なお、最近、真夏に冷房を入れようとして誤って暖房のボタンを押し、元に戻せず、熱中症により搬送される高齢者の方が増えています。これを防ぐため、各面に配置するボタンを少なくし、また色分けをすることも合わせて提案されています。
エアコンやテレビのリモコンを探し出すのにいつも苦労している散らかし屋の私は、製品化をとても期待しています。
リモコンのように比較的古くから広く普及している製品でも、ユニバーサルデザインの観点から見直すと新しい発想が生まれ、すべての人々により便利で安心な新しい製品が誕生します。
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※詳細をお知りになりたい方は特許庁の開設した検索サイト
の「簡易検索」欄に「神戸大学 リモコン」と入力して検索してみてください。
Written by 法律事務所アイディペンデント
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