top of page

最新人事労務耳寄り情報vol.4ー配置転換・転勤(その1)


職務内容や勤務場所の変更(配転命令)の有効性が従業員との間で争われるトラブルが増えています。


最近の事例(東京地方裁判所令和5年7月14日)では建築総合コンサルティング会社が行った、営業職の従業員に対する技術職への配転命令の有効性が争われました。


この事例では雇用契約書上も就業規則上も業務都合により異動を命じたり担当業務以外の業務を行わせることがある旨定められていました。

しかしそれでも配転命令は裁判所により無効とされました。


配転命令が有効になるためには、①就業規則などに根拠があるか(配転命令を根拠づける規定等の存在)、②職務内容や勤務地を限定する特別の合意があるか(ある場合にはその合意の範囲内か)、③権利の濫用などではないかという条件をクリアする必要があります。


この事例は、①と②はクリアできているものの、同社で技術職が不足しているかという点が明らかでないことや会社の従業員への対応(具体的な出勤・業務を命じていないなど)に照らし、業務上の必要性がないとして③を満たさないとしたものです。


そして、今日(4月1日)から労働条件明示について制度改正が行われ、就業場所・業務の内容に加えこれらの変更の範囲についても明示しなければならなくなりました(労働基準法施行規則第5条)。「変更の範囲」については今後の見込みも含めて明示する必要があります。明示のタイミングは、すべての労働契約の締結時です。有期労働契約の場合には更新の都度明示する必要があります。


これだけでも企業にとってはかなりの負担増ですが、配転命令の有効性についても影響することが予測されています。


今後は労働条件の明示の際には将来の配転についてしっかりと説明しておくことが求められます。さもないと②や③の要件を満たさないとして配転命令が無効になるおそれがあります。


また4月26日には②や③に関して最高裁判所の判決が予定されています。この4月は配転命令の実務に関して様々な動きがありそうです。

Written by 法律事務所アイディペンデント




Comments


bottom of page