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最新人事労務耳寄り情報ー高齢者継続雇用制度と雇用拒否



高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年制を設けている企業に対して以下のいずれかの措置を講じることを義務付けています。


・定年の引上げ

・継続雇用制度の導入

・定年の廃止


このうち最も多く採用されているのが継続雇用制度です。


同制度下では原則として希望者全員を継続雇用しなければいけません。


では、継続雇用を全く拒否できないのでしょうか。アメリカン・エアラインズ事件(東京地裁令和5年6月29日判決)はこの点についてこれまでの実務傾向とは異なる注目すべき判断を示しています。


本件では、60歳定年を迎えた従業員が継続雇用を申し込んだところ、会社側が経営悪化を理由に継続雇用を拒否したことが争われました。


裁判所は、以下の点を重視して会社側の対応を適法と判断しました:


・就業規則に、「事業縮小、人員整理、組織再編成等により社員の職務が削減されたとき」は継続雇用の対象としない旨の規定があったこと

・新型コロナによる経営悪化が現実に存在し、全社的な人員削減が必要な状況にあったこと

・定年退職者の再雇用制度を一時凍結する方針が、恣意的なものではなく、経営上の必要性に基づくものであったこと


アメリカン・エアラインズ事件は控訴されることなく確定しています。


これまでの実務は雇用拒否について労働契約法16条(解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする)の考え方を類推するのが一般的でした。しかし本裁判例は定年後に「あらためて協議合意をしたうえで有期の労働契約を締結」するものだったとしてこの考え方から外れています。


コロナ禍、しかも甚大な打撃を受けている航空会社という特殊な状況ではありますが、注目すべき判断です。

Written by 法律事務所アイディペンデント

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