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連座制のナゾ-3分でわかる選挙


「秘書がやりました」は責任逃れの常套句というイメージです。


しかし選挙では通用しません。

厳しい選挙戦を制して当選したものの選挙を手伝ってくれたスタッフの選挙犯罪が発覚して当選無効になってしまった、なんてことが起こります。


みなさんよくご存知の「連座制」です。


公職選挙法では、たとえ当選人(候補者)自身が選挙違反をしていなくても、「候補者と一定の関係にある者」が違反行為をした場合には、当選が無効になります。


この「候補者と一定の関係にある者」とは、


①総括主宰者

②出納責任者

③地域主宰者

④候補者等の親族

⑤候補者等の秘書

⑥組織的選挙運動管理者等


の6つです。それぞれの役割については割愛しますが、ここに秘書が含まれています(⑤)。


つまり「秘書がやりました」と言い逃れできないようになっています。


候補者のあずかり知らぬところで秘書が買収行為を行っていたというニュースをしばしば耳にしますが、たとえ候補者が知らなくても連座してしまうのです。


初めて立候補する場合、自身のために一生懸命働いてくれる人に「秘書」の肩書きをつけてあげたいと思うでしょう。しかし「秘書」の肩書きを与えることは候補者にとって重大なことです。秘書が選挙違反行為をしないよう相当の注意を払わなくてはいけません。しかも、この「相当の注意」について、裁判所は極めて高い基準を求めています。

もし信用できない人を秘書にしたり、監督を怠ったりすると何もしていなくても候補者は連座してしまうことになります。


ではこの「秘書」とはどのような人をいうのでしょうか。


普通の人がイメージする「秘書」よりも広いため注意が必要です。


秘書について公選法は「公職の候補者等に使用される者で当該公職の候補者等の政治活動を補佐するものをいう」と定められています(公職選挙法第251条の2)。


まず「使用される者」とは、必ずしも候補者との間で雇用契約があることを要しないとされています。

つまり雇われていなくても、給料をもらっていなくても「秘書」にあたる可能性があるということです。

また実際に「秘書」という肩書きを付けている必要もありません。


さらに、候補者の秘書に該当するか否かについて裁判所は


「公職の候補者等の政治活動を助けるために、その指揮命令の下に種々の労務を提供する者のうち、相応の権限(裁量)と責任をもって担当事務を処する者を指し、お茶汲みや自動車の運転等の単純、機械的補助業務につき労務を提供しているにすぎない者はこれに当たらない」


(大阪高裁判決平成10年5月25日)と述べています。


つまり仕事内容に裁量があれば「秘書」にあたりうる、というのが裁判所の立場です。


「秘書」にあたる範囲は想像以上に広いのが現実です。


もし秘書に該当する者が買収などの悪質な犯罪を犯し、禁固以上の刑(執行猶予含む)に処せられたときに連座制が適用されます。


適用されると当選は無効となり、連座制確定時から5年間の同一選挙・同一選挙区からの立候補が制限されます(公職選挙法第251条の2)。


大変なダメージです。


選挙期間が近づくと警察は、選挙違反取締対策本部を設置して独自に捜査を進めます。捜査対象とならないよう、スタッフの選定も含めて細心の注意を払い選挙運動をすることが大切です。

Written by 行政書士事務所アイディペンデント

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