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最新人事労務耳寄り情報ー定年後再雇用の待遇格差とパート有期法8条



パートタイム・有期雇用労働法(「パート有期法」)8条は、パートタイム労働者・有期雇用労働者と通常の労働者(正社員)との間の不合理な待遇差を禁止するものです。


不合理かどうかは、以下の3要素を考慮して判断されます。


a 職務内容

b 職務内容・配置の変更範囲

c その他の事情


福岡地方裁判所令和6年11月8日判決は、JR九州の定年退職者(原告ら)が、定年後の再雇用時の待遇が正社員と比べて不当に低くパート有期法8条に違反しているとして、会社(被告)に対して損害賠償を求めた事案です。


原告らが問題とした待遇の違いは以下のようなものでした。


・基本給の水準が低い(定年前の約65~74パーセントに減額)

・賞与(期末手当)の支給月数が少ない

・扶養手当や住宅手当が支給されない


 裁判所は以下を理由にこれらは違法でないと判断しました。


①職務内容、職務内容・配置の変更範囲

 基本的な業務内容は同じでも再雇用者は昇進・昇格が予定されていない

 転勤の範囲が限定的である

 高齢者向けの配慮された勤務シフトがある


②その他の事情

 定年前に正社員として長期間給与や退職時に退職金を得ている

 年金受給が予定されている

 労働組合との交渉を経て制度が設計されている


再雇用者の待遇設計のポイントとしては、職務内容や責任の違いを明確にすること、労働組合等との協議を適切に行うこと、高齢者への配慮(勤務シフト等)を明確かつ具体的に設定することが重要といえます。

Written by 法律事務所アイディペンデント

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