会社と私の「メメント・モリ」最終回は「会社の死」です。
経営者であれば誰もが「長く続く会社」を願います。しかし、残念ながら倒産を選択する会社もあります。
会社倒産の手続きは「清算型」と「再建型」に分かれますが、今回は「会社の死」を意味する「清算型」を取り上げます。
「清算型」はさらに①特別清算と②破産に分かれます。
両者の最大の違いは債権者の同意が必要かです。同意が必要なのは①で、その分手続は会社が主導し柔軟な解決が可能です(小口債権については弁済してしまうなど)。債権者と会社に一定の信頼関係があることが前提ですが、円満な解決を図れます。ただ株式会社でなければできないこと、債権の貸倒処理ができない場合があることは注意です。
対して②破産は、債権者の同意がなくとも行える分、手続は厳格です。また裁判所に支払う高額な予納金が必要です。主に裁判所から選任される破産管財人の活動費用に充てられます。その額は負債金額に応じて決められますが、最低でも20万円、数百万円を要することもざらです(①は5万円程度)。このほか破産申立てを弁護士に依頼する場合その費用(同じく最低でも数十万円以上)も必要です。裁判と違い、会社の破産申し立てを弁護士に依頼せず進めることは困難です。ですから最低でも50万円以上の費用がかかるということになります。
「一銭もなくなったら会社を潰せばいいさ」と考え、預貯金を全て使い果たしてから倒産の相談にくる経営者もいるようです。しかし、上述のとおり、会社の破産にはある程度のお金が必要です。また、会社の倒産と同時に代表者も自己破産をするのが一般的です。自己破産もタダですることはできません。
起業したその瞬間から「会社の死」を考え、残すべき資金はいくらか、倒産を選択するタイミングはいつかを日々意識しながら経営することが「長く続く会社」の秘訣のひとつと考えます。経営者の中には破産のために必要な費用は常に金庫に残しておくという人もいます。
一方日本は創業100年以上の長寿企業数世界一を誇ります。長寿企業を目指す場合、会社経営に伴う様々なリスクには早めに対処しましょう。
早めに対処すれば、今回のケースでいえば中小企業庁の中小企業活性化協議会を利用して一部の債権放棄を交渉することも可能になります。
全6回のコラムが皆様のお役に立てたのであれば幸いです。
Written by 行政書士事務所アイディペンデント
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