「メメント・モリ」とは、「死を想え」「死を忘れるな」という意味の警句です。
ビジネス・プライベートどちらでも自分と関わりある人の「死」はあまり考えたくないものです。しかし、日頃から万が一を意識しておくといざというときにあわてずにすみます。
そこで第1回は企業が業務委託契約していたフリーランスが突然亡くなったらどうなるか、考えてみます。
例えば、ホームページリニューアルのため、ネットでみつけたAさんに依頼したとします。Aさんは前金制とのことでしたので30万円を振込みました。Aさんから時々作業確認の連絡がありました。しかし、ある時から携帯電話は繋がらず、メールを送っても連絡が取れません。やがてAさんの親族と名乗る男性からAさんが亡くなったと連絡がありました。作業の進み具合はわからず、作業用に貸与した資料や機密文書を回収することも困難となってしまいました。この場合、契約書に「定期的な進捗報告」、「発注および成果物の納品は分割」「重要書類は自社の担当者とクラウド上の共有フォルダで管理」等も記しておくことでリスクが軽減されます。
では次の事例はどうでしょう。
自社と販売代理店契約をしているXさんに200万円分の商品を卸しました。ところがXさんが突然亡くなってしまい売掛金の回収ができません。さぁ、どうしたらよいでしょうか。債権は相続人に請求できますので、まずは相続人の確定です。相続人が複数いた場合、例えば4名いたら各相続人に50万円ずつ請求します。相続人の1人に全額請求することはできません。相続人を探し出したうえで分割して請求しなければならないわけですから、多大な手間と未回収リスクを背負います。
さらにXさんに多額の借金があり相続人が相続放棄をしたなど特別な事情があればあるほど手続きは複雑になります。そこで、「あらかじめ担保をとる」、「個人保証をつける」などの方法もあります。
4月28日、フリーランスと契約する企業にフリーランス保護の義務や配慮を要求するフリーランス保護法が成立したことも手伝い、フリーランスとの契約は法人相手よりも慎重にする必要があります。
Written by 行政書士事務所アイディペンデント
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