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スピーカーとユニバーサルデザイン


日本に難聴者の方は何人おられるかご存じでしょうか。実は、人口の11.3パーセントにもあたる、1430万人以上と推定されています(※1)。そして、高齢化社会の進行により加齢を原因とする難聴(老人性難聴)に悩まされる方は今後も増えることが予想されます。


ユニバーサルデザインの重要性への理解が広がるにつれ、難聴者に配慮し、防災無線などの安全に関わる情報について文字をも併用して提供しようという動きが広がっています(※2)。


しかし、音が聞こえにくいことは、このような防災の面で問題が生じるだけでなく、他の人が聞こえている音が聞こえないことによる孤立感、疎外感をもたらします。しかも、老人性難聴は、認知症やうつ病に繋がるという指摘もあります(※3)。これらへの対策は、文字情報の併用だけでは不十分です。


この問題を解決する一助となるスピーカーがヒットしています。株式会社サウンドファンが開発、販売している「ミライスピーカー」です。



高齢者は、通常のスピーカーより蓄音機の方が聴こえやすいという研究があります。このスピーカーは、この研究成果を発展させ、蓄音機のラッパ部分の曲がりを参考にして開発された、曲面サウンドという技術を用いて距離が離れても音が弱まりにくいという音の特性を作り出しました。


つまり、このスピーカーは、近く遠くを問わず、はっきりとした音を届けることができるため、スピーカーから遠くにいる難聴者にも聞きやすく、スピーカーの近くにいる難聴者以外の人にはうるさくないという環境を実現できます。そのため難聴者とそれ以外の人が同じ部屋や場所で特別な機械を使わなくとも、同じ音を聞いたり音楽を楽しんだりできるという画期的なものです。このスピーカーがあれば、たとえ年を重ねても家族と一緒に映画や音楽、テレビを楽しめますね。


ユニバーサルデザインの考え方はすべての人が年を重ねても楽しく暮らせる社会を実現します。また、スピーカーのように既に広く普及している製品でも新たなヒット商品を生み出す力があります。


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※1

一般社団法人 日本補聴器工業会

※2

TEAM防災ジャパン/内閣府政策統括官(防災担当)

防災無線を文字に変換

※3

高齢者の難聴-日本老年医学会

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