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会社と私の「メメント・モリ」vol.5-法務局における自筆証書遺言書の保管制度
今回は作成した遺言を法務局で預かる制度(自筆証書遺言保管制度)のメリット・デメリットについてお話します。 まずメリットですが、①遺言書は法務局で保管されますので紛失の恐れがありません。 また、②相続人等の利害関係者による破棄・隠蔽・改ざんを防ぐことができます。これらは自筆証書遺言では大きなリスクですので安心です。 さらに第4回で述べたとおり、自筆証書遺言は厳密なルールに従って書く必要があります。③保管申請をする際、形式的要件を満たしているかのチェックがあります。 また④相続開始後家庭裁判所で受けるべき検認も不要です。これらの点も安心です。 しかしデメリットもあります。 それは、相続人の一人が遺言書の交付又は閲覧の申請をすると他の相続人へ遺言書の保管の事実が通知されることです(関係遺言書保管通知)。 例えば、相続人には1才の時に生き別れた兄弟がいたとします。その兄弟とは絶縁状態です。そして今後も一切関わりたくないと思っています。 しかし、被相続人(この場合は親)は財産を二人の子供へ公平に残したいと思い、保管制度を利用していました。相続人は遺品整理中
2023年11月15日


会社と私の「メメント・モリ」vol.4-遺言を作成して争族を防ぐ
今回は、自分が亡くなったときに備え自分の意思をあらかじめ伝えておく方法、つまり遺言について考えてみたいと思います。 遺言といえば、自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的です。 自筆証書遺言は、その名の通り、自分で手書きした遺言です。 いつでも手軽に作成できます。遺言の全文、日付、氏名を自署・押印すればよく、財産目録はパソコンで作れます。 しかし、手軽な反面リスクもあります。例えば「○○区の家は一郎に相続させる」の遺言の場合、○○区内に自宅と隣地の賃貸駐車場を所有していたらどうなるでしょうか?「家」は自宅のみを指すのか、賃貸駐車場も含まれるのかわかりません。一郎さんは「含まれる」、兄弟の次郎さんは「含まれない」と主張するでしょう。また「金融資産は一郎に相続させる」とあった場合、「金融資産」に現金は含むのでしょうか?このように遺言の文言をめぐって争いになりがちです。 また、認知症など遺言者の能力が低下している状態で作成された遺言が有効かどうか争われることや筆跡の相違や乱れから筆跡鑑定が行われることもあります。しかし、筆跡鑑定は皆様が想像するほど完璧ではあ
2023年10月15日


会社と私の「メメント・モリ」vol.3-もし従業員が亡くなったら?
従業員が健康で永く働ける職場作りは経営者の務めですが、残念ながら従業員が亡くなるケースもあります。もし従業員が亡くなったら、会社がしなければならないことはどのようなものでしょうか。注意が必要です。 まず雇用保険、健康保険の資格喪失手続を行います。期間が短い(前者は10日、後者は5日)ため注意しましょう。また遺族年金等遺族側の手続を丁寧に説明して遺族の心の負担を減らしましょう。 自殺や過労死が疑われる場合、さらに慎重な対応が必要です。死亡の原因次第で訴訟リスクが高まります。早急に事実関係の調査を開始し、訴訟を避けるため専門家に相談しましょう。 次に、従業員の相続人を名乗る人物が賃金の未払い分や死亡退職金の支払いを求めてきた場合、そのまま払ってよいのでしょうか? 法律上、従業員が死亡し相続人などの権利者が給与などを請求してきた場合、会社は7日以内に支払わなければならないとしています(労働基準法23条1項)。 しかし、言われるがままに支払うことは会社にとって危険です。 その人物が相続人である確証はありませんし、相続人だったとしても相続人間の争いに会社が
2023年9月15日


会社と私の「メメント・モリ」vol.2-もし株主が亡くなったら?
今回は株主が亡くなったときについて考えてみましょう。 大部分の中小企業(株式会社)では、株主としてふさわしくない人が会社に入り込まないよう、株式を譲渡する場合に会社の承認を必要としています(譲渡制限株式)。 しかし、この譲渡制限株式だけでは株主としてふさわしくない人が会社に入り込むことを防げない場合があります。 たとえば、株主のAさんが亡くなり、子供のBさんがAさんの株式を相続したとします。 実はこの場合、たとえ譲渡制限株式でも会社の承認は不要なのです。 もしこのBさんが放蕩息子でトラブルばかり起こしていた場合、Bさんが株主になると会社は困ります。 そこで会社は定款で定めれば、会社はBさんに対して株式を会社に売り渡すよう請求できます(売渡請求)。この制度、定款で定めていないと利用できませんが、大昔に作成してそのままになっていたりネットで無料公開されたりしている定款にはこの定めがないことがありますから要注意です。 次に、同じく株主の死亡に伴う相続などにより今の株主と連絡が取れなくなることがあります。このような株主を所在不明株主といいます。皆様ご存じ
2023年8月15日


会社と私の「メメント・モリ」vol.1-気をつけたいフリーランスとの契約
「メメント・モリ」とは、「死を想え」「死を忘れるな」という意味の警句です。 ビジネス・プライベートどちらでも自分と関わりある人の「死」はあまり考えたくないものです。しかし、日頃から万が一を意識しておくといざというときにあわてずにすみます。 そこで第1回は企業が業務委託契約していたフリーランスが突然亡くなったらどうなるか、考えてみます。 例えば、ホームページリニューアルのため、ネットでみつけたAさんに依頼したとします。Aさんは前金制とのことでしたので30万円を振込みました。Aさんから時々作業確認の連絡がありました。しかし、ある時から携帯電話は繋がらず、メールを送っても連絡が取れません。やがてAさんの親族と名乗る男性からAさんが亡くなったと連絡がありました。作業の進み具合はわからず、作業用に貸与した資料や機密文書を回収することも困難となってしまいました。この場合、契約書に「定期的な進捗報告」、「発注および成果物の納品は分割」「重要書類は自社の担当者とクラウド上の共有フォルダで管理」等も記しておくことでリスクが軽減されます。 では次の事例はどうでしょう
2023年7月15日
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